社会保険料は本当に高いのか?世界と比較したデータで検証
給与から天引きされる社会保険料を見て「高い!」と感じる方も多いのではないでしょうか。 でも実は、この社会保険料があるからこそ、病院で3割負担で治療を受けられたり、将来の年金を受け取れたりするんです。
日本の社会保険料:国際的には中程度の水準
「給与から引かれるから高く感じる」というのが正直なところですが、他の国と比べてみると、実際はどうなのでしょうか。
労働政策研究・研修機構データ(2022年)による正確な数値
| 国名 | 労働者負担 | 使用者負担 | 合計負担率 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | 7.65% | 7.65% | 15.3% |
| 日本 | 15.47% | 15.82% | 31.29% |
| フランス | 7.30% | 21.80% | 29.10% |
| ドイツ | 19.325% | 19.325% | 38.65% |
注:日本は40歳以上(介護保険を含む)の場合
より包括的な国際比較で見る日本の位置
- OECD諸国での日本の順位
国民負担率ランキング:36カ国中22位(財務省データ)
税収に占める社会保険料割合:36国中4位(OECD Revenue Statistics 2023)
つまり、日本は「世界的に安い方」というより中程度の水準にあります。
他の調査による労使合計負担率比較
- フランス:54.9%
- ドイツ:41.2%
- スウェーデン:38.4%
- 日本:31.7%
- イギリス:25.8%
- アメリカ:17.8%
日本の社会保険料の特徴を理解しよう
特定の欧州諸国と比較すると確かに低い
日本の社会保険料は、ドイツやフランスなど社会保険料負担が特に高い一部の欧州諸国と比較すると確かに低く設定されています。一方で、アメリカのような低負担の国と比較すると高くなります。
日本独特の構造的特徴
しかし、日本には以下のような特徴があります:
- 社会保険料への依存度が40.4%と高い(欧米は税中心システム)
- 低中所得層の負担感が相対的に重い
- 負担率の累進性が他国より低い
社会保険料は「国のサービス料」として考えてみよう
旅行で高級ホテルに泊まる時を想像してみてください。宿泊費は高いですが、それに見合った質の高いサービスを受けられますよね。
社会保険料も同じです。負担率が低い国では、国から受けられるサービスの質や範囲が限定される場合があります。
アメリカとの比較例
- アメリカの社会保険料率は15.3%と確かに低水準ですが、医療費の高さは有名な話です。
- 日本では3割負担で済む医療費が、アメリカでは全額自己負担になるケースが多くあります。
- 例:虫垂炎の治療費比較
- アメリカでは約8%の人が医療保険未加入状態(2022年時点)にあります。
私の考え:社会保険料は「国のサブスク」
私は社会保険料を「国のサービスを受けるためのサブスクリプション」だと捉えています。
もし解約する選択肢があったとしても、病院で「10割負担でお願いします」と言われたら、やっぱり継続したくなりませんか?
まとめ:バランスの取れた視点で考えよう
社会保険料について正確に理解するためには:
- 日本は国際的に中程度の負担水準にある
- 特定の高負担国(ドイツ・フランス)より低く、低負担国(アメリカ)より高い
- 社会保険料依存型という構造的特徴がある
- それでも充実したサービスを受けられる価値がある
社会保険料は確かに負担に感じますが、安心して生活するための必要な投資だと考えると、見方が変わるかもしれません。ただし、低中所得層の負担感軽減など、制度改善の余地があることも事実です。