ふるさと納税は何が得かわかりにくい。先にお金は出て行くし。払いすぎも心配。

住宅ローン控除は、所得税が返ってくるのでお得な感じを実感することができますが、
ふるさと納税は、先にキャッシュアウトをするので、住民税はきちんと支払った分減っているのか、認識しにくいと思いませんか?

ふるさと納税は「住民税の前払い」だった!

〜166,000円寄附した通知書を読み解く〜

1. このケースの前提条件

年収 10,455,185円(給与収入) の方が、社会保険料控除・配偶者控除・基礎控除などを踏まえてシミュレーターで上限を試算し、約17万円 の範囲内で 166,000円 を寄附。
――つまり「自分の収入と控除を前提に、上限を超えない範囲で寄附」した実例です。

2. 住民税決定通知書の主要数値

  • 給与収入:10,455,185円
  • 課税所得:6,029,000円
  • 住民税所得割額:602,900円
  • 寄附金税額控除額:130,512円(=基本分16,400円特例分114,112円
結論:166,000円の寄附により、翌年度の住民税から 130,512円 が差し引かれています。

3. 所得税の控除はいくら?

通知書に載るのは「住民税側の控除」だけですが、所得税も減っています。フル計算は次のとおり。

(1) 控除対象額
寄附金 − 2,000円 = 166,000 − 2,000 = 164,000円

(2) 税率区分
課税所得 6,029,000円 → 所得税率20%(復興特別所得税2.1%が乗る)

(3) 所得税の減額
164,000 × 20% = 32,800円

(4) 復興特別所得税の減額
32,800 × 2.1% = 688円(1円未満切捨て)

(5) 合計減税額(所得税側)
32,800 + 688 = 33,488円

👉 所得税からは 33,488円 減っています(確定申告なら還付、ワンストップ特例なら翌年の住民税側に振替反映)。

4. 住民税の控除内訳(通知書ベース)

  • 基本分16,400円(目安:控除対象額の10%)
  • 特例分114,112円(目安:控除対象額 × (90% − 所得税率) の実額調整)
  • 合計130,512円
参考ロジック:
特例分の目安は 164,000 × (90% − 20%) = 114,800円
実際の通知書は端数・復興税相当の調整で 114,112円 となり、総額で辻褄が合う形になっています。

5. 控除合計と実質負担

  • 所得税側の減額:33,488円
  • 住民税側の控除:130,512円
  • 控除合計:33,488 + 130,512 = 164,000円
  • 実質負担:166,000 − 164,000 = 2,000円
👉 寄附額−2,000円 が税で戻り、自己負担は2,000円 に収まっています。

6. まとめ&アドバイス

  • ふるさと納税は体感的に 「翌年の住民税の前払い」
  • 通知書には 住民税の控除のみ が載るため、所得税側の減税(または振替分) が見えにくいだけで、合計では寄附額−2,000円 がきちんと反映されています。
  • 上限の目安 は収入・控除・家族構成で変わり、特例分は『住民税所得割額の20%』が上限。超えると自己負担が増えるので、寄附前に必ず上限確認を。
  • 手続き別の見え方
    • 確定申告:所得税の還付+翌年の住民税軽減
    • ワンストップ特例所得税の還付は発生せず翌年の住民税で一括軽減
      (どちらでも最終的な実質負担は2,000円で同じ)
チェックポイント
「基本分+特例分+(所得税側の減額)」= 164,000円(=寄附額−2,000円)になっているか。
今回は 16,400+114,112+33,488=164,000 で一致。

ふるさと納税は節税か?

1. 「控除で減っている額」は確かにある

今回のケースでは――

  • 所得税の減額相当:33,488円
  • 住民税の減額(寄附金税額控除):130,512円
  • 合計:164,000円

→ 寄附金控除により税額が合計 164,000円 減っているのは事実です。

2. ただし、それは「寄附」と相殺される

寄附は 166,000円。そのうち 164,000円 が税に充当された格好で、
差し引きの自己負担は 2,000円。その見返りとして返礼品を受け取れる制度です。
(検算:166,000 − 164,000 = 2,000)

3. 結論

「ふるさと納税は『寄附金控除』で税金は減りますが、寄附で先に払ったお金を税に充て直しているだけ。トータル±0、自己負担は2,000円。違いは返礼品がもらえる点です。」

“税額は減る”のは事実。ただし本来の意味での節税というより、
自己負担2,000円で税金の行き先を指定し、返礼品を得る制度――と説明するのが正確です。
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